海外渡航のためのワクチンのご案内です。

 海外渡航者の予防接種には主に二つの側面があります。一つは、入国時などに予防接種を要求する国(地域)に渡航するために必要なものです。もう一つは、海外で感染症にかからないようにからだを守るためのものです。

 外国では日本にはない病気が発生しています。また、日本にいる時よりも感染する危険が大きい病気があります。予防接種を受けることで予防できる病気は限られていますが、予防接種を受けることで感染症にかかるリスクを下げることができます。必要な予防接種は、渡航先、渡航期間、渡航形態、自身の年齢、健康状態、予防接種歴などによって異なります。事前に渡航先の感染症情報を収集するとともに、それぞれの予防接種について理解した上で、渡航者一人一人が、どの予防接種を受けるかを決める必要があります。

予防接種対象料金
(税込)
黄熱感染リスクのある地域に渡航する人
入国に際して証明書の提示を求める国へ渡航する人
取扱い
なし
A型肝炎途上国に長期(1か月以上)滞在する人、特に70歳以下\8,000
B型肝炎血液や体液に接触する可能性のある人\6,000
破傷風冒険旅行などでけがをする可能性の高い人\4,000
狂犬病イヌやキツネ、コウモリなどの哺乳動物が多い地域へ行く人で、特に近くに医療機関がない地域へ行く人
動物研究者など、動物と直接接触する人
\15,000
ポリオ流行地域に渡航する人\9,500
日本脳炎流行地域に長期滞在する人(主に東南アジアでブタを飼っている農村部)\7,000
麻疹風疹(MR)海外へ渡航しない人も含めてすべての人\10,000
COVID-19海外へ渡航しない人も含めて、すべての人
入国に際して証明書の提示を求める国へ渡航する人
取扱い
なし
髄膜炎菌流行地域に渡航する人、定期接種実施国へ留学する人\25,000
英文接種証明
(当院発行)
クリニック発行の英文接種証明書発行手数料(1人1通につき)
※取扱い検討中
取扱い
なし
英文接種証明
(用紙指定)
企業指定またはお持ちいただいた英文接種証明書に記載する方法での発行手数料(1通につき)
※取扱い検討中
取扱い
なし

予防接種で予防できる病気

破傷風

 破傷風菌は世界中の土壌の至る所に存在し、日本でも毎年患者が発生しています。破傷風は傷口から感染するので、冒険旅行などで怪我をする可能性の高い人におすすめするワクチンです。特に、途上国では、けがをしやすく、命に関わることもあるので、接種を検討してください。
 破傷風ワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日せき)に含まれていますので、定期予防接種で破傷風・ジフテリアワクチンを12歳の時に受けていれば、20代前半位までは免疫がありますので、接種は不要です。その後は、1回の追加接種で約10年間有効な免疫がつきます。現在、小児の定期接種では、ジフテリア・百日咳・ポリオとの4種混合ワクチン(DPT-IPV)、ジフテリア・百日咳との3種混合ワクチン(DPT)、ジフテリアとの2種混合ワクチン(DT)が用いられます。

 接種歴のない人は3回接種を推奨。初回免疫として3~8週間隔で2回、その後追は加免疫として6か月以上の間隔を置いて接種してください。
 初回免疫・追加免疫を完了した人は、数年ごとに再追加免疫を接種できますが、接種間隔は職業、スポーツ等の実施状況を考慮してください。

スケジュール表

A型肝炎

 A型肝炎は加熱処理されていない食べ物や飲み物から感染する病気で、アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。発症すると倦怠感が強くなり、重症になると1か月以上の入院が必要となる場合があります。特に途上国に長期(1か月以上)滞在する人におすすめするワクチンです。特に70歳以下の人は抗体保有率が低いため、接種をおすすめします。
 ワクチンは2~4週間隔で2回接種します。6か月以上滞在するのであれば6か月目にもう1回接種すると少なくとも5年以上の効果が続くとされています。

B型肝炎

 以前は輸血や医療従事者の注射針による針刺し事故など血液を介した感染が問題とされていましたが、現在ではB型肝炎(活動期)の母親から生まれる新生児期を中心とした感染と、思春期以降の性行為(唾液や体液の濃厚接触)を通じた感染の2つが主な原因となっています。
  一般に健康な(免疫不全でない)成人の感染では一過性感染が多く、急性肝炎の経過をとるものと不顕性感染となるものがあります。一過性感染例では劇症化して死亡する例(約2%)を除くと、多くは、およそ3か月で肝機能が正常化します。
 ワクチンは4週間間隔で2回接種し、さらに20~24週間後に1回接種します。

急性B型肝炎患者の性別年齢群別発生状況 2006年4月~2015年12月

狂犬病

 狂犬病は発病すればほぼ100%が死亡する病気です。アジア・アフリカ地域を中心に世界中で発生しており、発生が確認されていない国はオーストラリア、ニュージーランドなどごくわずかです。イヌだけでなくキツネ、アライグマ、コウモリなどの動物に引っかかれたり、咬まれたりすることによって感染する危険性が高く、長期滞在、研究者など動物と直接接触し感染の機会の多い場合や、奥地・秘境などへの渡航ですぐに医療機関にかかることができない人におすすめするワクチンです。
 ワクチンは2種類あり接種方法が異なりますが、いずれも暴露前の場合は基本的には3回の接種が必要です。実際の接種方法については医師とよく相談してください。
 なお、暴露前のワクチン接種を行っている場合であっても、特に狂犬病発生地域で犬などに咬まれた場合には暴露後のワクチン接種が必要です。暴露後の接種に関しては、使用できるワクチンの種類により接種回数が異なりますので、接種の必要性ならびに接種回数に関しては医師にご相談ください。

日本脳炎

 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって起こる重篤な急性脳炎で、死亡率が高く、後遺症を残すことも多い病気です。
 流行地(東アジア、南アジア、東南アジア)へ行く人におすすめするワクチンです。ワクチンは1~4週間間隔で2回接種し、約1年後追加接種を1回します(基礎免疫が完了)。基礎免疫の完了後は、1回の接種で4~5年間有効な免疫がつきます。

スケジュール表

ポリオ(急性灰白髄炎)

 ポリオはポリオウイルスによって、急性の麻痺が起こる病気です。
 野生株ポリオが発生し国際的な感染拡大のリスクがあるアフガニスタン、マラウイ、モザンビーク、パキスタンのほか、ワクチン由来ポリオが発生している国(イスラエル、アルジェリア、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マダガスカル、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ、ウガンダ、エジプト、ソマリア、イエメン、ウクライナ)に渡航する人は追加接種を検討してください。WHOでは、患者が発生している国に渡航する場合には、以前にポリオの予防接種を受けていても、渡航前に追加の接種をすすめています。特に、1975年(昭和50年)から1977年(昭和52年)生まれの人はポリオに対する免疫が低いことがわかっていますので、海外に渡航する場合は渡航先が流行国でなくても渡航前の追加接種を検討してください。

黄熱 ※当院では取扱いございません。

 黄熱は蚊によって媒介されるウイルス性の感染症で、致死率は5~10%ですが、流行時や免疫をもたない渡航者などでは、60%以上に達するという報告もあります。アフリカや南米の熱帯地域に渡航する人に必要なワクチンです。黄熱予防接種証明書を入国時に要求する国や、乗り継ぎの時に要求する国もありますので、検疫所で確認して下さい。黄熱予防接種証明書は接種後10日目から生涯有効です。過去に発行された有効期間10年の証明書もそのまま生涯有効となりますので、廃棄せずに大切に保管してください。

ジフテリア

 ジフテリアは、患者の咳などによりヒトからヒトに感染します。
 小児の定期接種では、百日咳・破傷風・ポリオとの4種混合ワクチン(DPT-IPV)、百日咳・破傷風との3種混合ワクチン(DPT)、破傷風との2種混合ワクチン(DT)が用いられますが、成人向けにはジフテリア単独のワクチン(トキソイド)もあります。
 ジフテリアワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(DPT)、2012年(平成24年)から始まった4種混合ワクチン(DPT-IPV)に含まれています。定期の予防接種で2種混合ワクチン(DT)を12歳の時に受けていれば、20代前半くらいまでは免疫がありますので、それまでは接種は不要です。その後は、1回の追加接種で約10年間の有効な免疫がつきます。

麻疹

 感染力が非常に強く、簡単に人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。
 主な症状は発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発しんなどですが、まれに肺炎や脳炎になることがあり、先進国であっても、患者1,000人に1人が死亡するとされています。
 現在は定期の予防接種で小児期に2回の予防接種が行われています。麻しんにかかったことがない方、麻しんの予防接種を受けたことがない方、ワクチンを1回しか接種していない方または予防接種を受けたかどうかがわからない方にはワクチン接種をおすすめします。

麻しん患者の年代分布 2008~2019年

スケジュール表

風疹

 感染力が強く、人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。主な症状は発熱、発しん、リンパ節腫脹などですが感染しても症状がでない人が15~30%程度います。
 通常は自然に治りますが、まれに脳炎になったりして入院が必要になることがあります。
 妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、生まれてくる子どもが先天性風しん症候群になり、難聴・白内障・心臓の病気などをもって生まれてくることがあります。
 現在は定期の予防接種で2回接種が行われています。加えて、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性については、2025年3月31日まで定期接種(1回)の対象とすることになっています。詳細は各自治体にお問い合わせください。
 風しんにかかったことがない方、風しんの予防接種を受けたことがない方、ワクチンを1回しか接種していない方または予防接種を受けたかどうかがわからない方には、ワクチン接種をおすすめします。

スケジュール表

髄膜炎菌感染症

 髄膜炎(脳の周りを覆う髄膜の炎症)は様々な細菌、ウイルスが原因となって起こる病気ですが、その中でも髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、髄膜炎の大きな流行をもたらします。 髄膜炎菌は感染者の呼吸中に生じる飛沫や咽頭分泌物を介して感染します。感染者とのキスやコップの共用などのほか、狭い空間での共同生活(寮生活)など、長時間の緊密な接触が感染の原因となります。
 髄膜炎菌にはいくつかのタイプがあり、A群はアフリカのサハラ砂漠の南側、髄膜炎ベルト地帯と呼ばれる大西洋からインド洋に至る東西に細長い地域が流行の中心ですが、メッカへの巡礼などにより西アジアでも時に流行が見られます。日本や欧米でもB群、C群、Y群、W-135群などが学生などの間で集団感染を起こします。
 予防には、髄膜炎菌のA、C、Y、W-135に対する4価結合型ワクチンが有効ですが、このワクチンではB群は予防できません。
 アメリカのように髄膜炎菌ワクチンを小児(10代)の定期接種としている国もあり、このような国へ留学する場合には、入学前に接種済証の提示を求められる場合があります。

スケジュール表

新型コロナウイルス ※当院では取扱いございません。

新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)というコロナウイルスの1種であるウイルス及びその変異株に、飛沫やエアロゾルを介して感染する感染症です。地域差はあるものの、全世界で発生しています。感染しても、大半は無症状又は有症状のまま経過しますが、感染者の重症化因子に応じて重篤化(肺炎等)する場合があります。ワクチンについては、日本国内では接種が推奨されており、変異株等含めた感染状況に応じた接種回数が必要となります。海外へ渡航する場合は、国によって接種を求められるときがあります。
各国の入国に際しての条件等については、新型コロナウイルスに係る日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置(外務省ホームページ)を参照してください。

海外渡航で検討する予防接種の種類の目安(地域別)

★下の表は日本国内で承認されているワクチンについて、渡航地域別に目安を示したもので国により状況は異なります。
黄熱についての詳細は、各国・地域の黄熱予防接種証明書要求及び推奨状況
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/yellow_fever_certificate.html
 黄熱以外については、国・地域別情報
 (https://www.forth.go.jp/destinations/index.html)をご参照ください。
★このほか、国内で承認されていないワクチンもあります。

【短期観光客向け】

地域Area黄熱A型
肝炎
髄膜炎麻疹・風疹水痘インフルエンザ・
新型コロナ(COVID-19)
北アメリカNorthern America   
カリブCaribbean  
中央アメリカ  Central America 
南アメリカSouth America 
中央アジア  Central Asia  
東アジアEastern Asia  
東南アジアSouth-eastern Asia   
南アジアSouthern Asia  
西アジアWestern Asia  
豪州・ニュージーランドAustralia and New Zealand      
メラネシアMelanesia   
ミクロネシアMicronesia    
ポリネシアPolynesia    
北アフリカNorthern Africa 
東アフリカEastern Africa 
中央アフリカMiddle Africa 
西アフリカWestern Africa
南アフリカSouthern Africa  
北ヨーロッパNorthern Europe      
東ヨーロッパEastern Europe      
西ヨーロッパWestern Europe      
南ヨーロッパSouthern Europe   

【冒険旅行および長期(1ヶ月以上)滞在者向け】

地域Area黄熱A型
肝炎
B型
肝炎
ポリオ狂犬病日本
脳炎
髄膜
炎菌
麻疹
・風疹
水痘破傷風インフルエンザ・
新型コロナ(COVID-19)
北アメリカNorthern America       
カリブCaribbean    
中央アメリカCentral America   
南アメリカSouth America   
中央アジアCentral Asia    
東アジアEastern Asia   
東南アジアSouth-eastern Asia   
南アジアSouthern Asia  
西アジアWestern Asia  
豪州・ニュージーランドAustralia and New Zealand              
メラネシアMelanesia    
ミクロネシアMicronesia        
ポリネシア  Polynesia       
北アフリカNorthern Africa 
東アフリカEastern Africa 
中央アフリカMiddle Africa 
西アフリカWestern Africa 
南アフリカSouthern Africa   
北ヨーロッパNorthern Europe              
東ヨーロッパEastern Europe   
西ヨーロッパWestern Europe              
南ヨーロッパSouthern Europe     

●:黄熱に感染するリスクがある地域に渡航する場合は予防接種が必要
▲:北アフリカのうちスーダン南部に渡航する場合は予防接種が必要
◎:渡航前の予防接種をお勧めしています
○:局地的な発生があるなど、リスクがある場合には接種を検討してください
△:ワクチンの供給が限られているので、入手可能であれば接種を検討してください。
※:麻しん、風しん、水痘、破傷風、インフルエンザ、新型コロナは渡航先に関わらず、必要な方には予防接種をお勧めしています

「海外渡航のためのワクチン」についてのよくあるご質問(FAQ)

私が知りたい感染症の海外渡航用ワクチンが掲載されていません。

 海外で感染する可能性のある感染症のうち、国内の医療機関で、国の製造販売承認を受けたワクチンを用いた予防接種を受けることができるものに関してのみを記載しています。
 渡航前の予防接種の実施が望ましいとされるワクチンのなかには、現地(渡航先)では接種可能であっても、国内では製造販売承認を受けていないワクチン(国内未承認ワクチン)があります。このようなワクチンに関する情報は掲載しておりません。

海外赴任となり家族で南アジアに渡航します。未承認ワクチンの接種も必要で、海外渡航用ワクチンの接種費用が高額になりますが、その費用を補助する制度などはないのですか。

海外渡航用の予防接種について公的に費用を補助する制度はありませんが、海外勤務や長期出張等の業務に伴う渡航の場合、雇用主が費用の全部又は一部を負担することがあります。渡航することが決まったらお早めに、渡航国の流行状況のほか、現地の衛生状況、医療事情、現地で従事する業務の態様等の情報を収集するとともに、企業の産業医や健康管理担当部署と費用のことも含めてご相談されることをお勧めします。

※当院では未承認ワクチンの取り扱いはしておりません。

海外渡航用ワクチンとして、国内未承認ワクチンが接種されることが多い感染症は何がありますか。

○腸チフス:https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name11.html
○ダニ媒介性脳炎:https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name31.html

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