小さな子どもは自分がよく見えていないことを自ら説明することはできません。
ある程度大きくなっても、生まれてからずっと見えていなければ自分が見えていない状態なのかわからないからです。成長の過程でスクリーニング検査することが大切なのです。
ヒトの視力は幼児期までに急速に発達します。この目の成長期に屈折異常(近視・遠視・乱視)や斜視などの異常があると、視力が発達せずに『弱視』となることがあります。弱視は早期発見、早期治療が大切です。7歳までの治療開始で75%、4歳までの治療開始で95%の回復が望めます。
この検査で、近視・遠視・乱視・不同視・斜視・瞳孔不同の6つの弱視の危険因子を検知できます。
※あくまでスクリーニング検査です。眼科医の目の精密検査に取って代わるものではなく、視力が測定できる検査ではありません。
生後6か月から成人まで検査可能です
- 保険適応外です。
- 弱視の疑いがある方は保険適応となる場合があります。
検査料 1,000円(税込) ※ 1歳健診または1歳6か月健診では無料で実施しております。
- テレビを近くで見ている
- 離れてると見えにくそう
- ものを見るとき、顔をしかめたり、目を細める
- ものを見るとき、顔を傾ける
- 顔を回して横目でものをみる
- 明るい戸外で片目をつぶる
- 一人で階段を上がるときは手を使う
- クレヨンなどで丸(円)を書かない
- 上目遣いでみる
検査に興味を持っていただいた方や、目について少しでも気になることがあればご相談ください。家庭では症状を見のがしがちです、保育園・幼稚園の先生や周囲の方も注意してみてあげてください。
弱視とは
視力は生後、未熟な状態ですがものを見ることで発達していきます。しかし、何らかの原因で視力の発達が障害されてしまう場合があります。この視力の未発達状態を弱視といいます。検査は弱視となりうるその原因をスクリーニング検査します。
●屈折異常弱視(主に遠視、時に近視・乱視が両眼ともに強いためにおこる、両眼の視力発達障害です。)
●不同視弱視(主に遠視、時に近視・乱視に左右差が強いためにおこる、片眼の視力発達障害です。)
●斜視弱視(眼の位置がずれる「斜視」のために、斜視になっている眼の視力が発達しません。)
●形態覚遮断弱視(先天白内障、眼瞼腫瘍、高度の眼瞼下垂のために視力刺激が網膜まで届かない、片眼あるいは両眼の視力発達障害です。)
早期発見の重要性
弱視の場合、生後から物が見えていないか、ピンぼけの状態で過ごしています。3歳未満に発見され治療を継続することができれば、学校生活に問題ない状態になることが期待できます。しかし4歳以上の発見・治療開始になると小~高校まで治療が継続され、お子様に負担になり、治療を中断してしまう場合があります。
10歳前後~大人での弱視発見の場合は、治療に有効な反応が得られず手遅れとなってしまいます。また、弱視により「はっきりと見えていない」ことで正しく目からの情報が入らずお子様の知的成長や学習の妨げ(黒板が見えない・指示された場所を注視できない・集中できない)になる可能性もあります。
検査内容
検査機械 Welchallyn スポット™ビジョンスクリーナー
検査時間 2秒間(機械を注視してもらう時間)
検査方法は室内を暗くし、機械を見て頂きます。保護者の方と椅子に座ってもらい、見て頂きたい機械の場所がキラキラと光り興味を引きながら測定できます。検査自体に痛みや苦痛はありません。
この検査機械は以下の検査をすることができます。
- 屈折検査・・・近視・遠視・乱視・不同視(近視・遠視の左右差)
- 斜視の検査・・・内外斜視・上下斜視
- 瞳孔径の測定・・・瞳孔不同
- その他眼疾患の可能性・・・先天性白内障・網膜剥離・網膜芽細胞腫
この機械で以下の項目は検査できません。
- 視力検査
- 間欠性斜視の検査・・・常に斜視はないが、ぼーっとした時や疲れているときなど一時的に起きる斜視
- 眼底検査
- 目の曲率半径
検査結果
検査結果はこのように用紙でお渡しいたします。
あくまで簡易のスクリーニング検査機械のため、誤差はあります。検査以降も弱視の危険因子が出現すると変化する可能性がありますので、しっかり様子を見ていきましょう。
- 1年後に再検査する。
- 家庭でお子様の日常の物の見方を見ておく。
- 精密検査などで眼科に行ってみる
※この基準値は目安です。
治療
検査結果より、「目の精密検査が推奨されます」や「測定不能」などのメッセージが表示された場合、眼科受診をお勧めします。当院で治療は行えません。※この検査はあくまでスクリーニング検査であり、診断するものではありません。