秋の咳風邪について
こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。
秋は朝晩の気温差が大きくなる季節で、子どもたちが咳をすることが増える時期でもあります。特に「咳風邪」と呼ばれる症状は、気温が下がることで引き起こされることも多く、パパママとしては心配になりますよね。
今回は、秋に多い咳風邪について、小児科専門医の視点から原因や対処法、予防策を詳しくお話しします。
秋の咳風邪の主な原因
秋は、気温が下がり、空気が乾燥し始めるため、子どもたちが風邪をひきやすい季節です。特に咳を伴う風邪は多く、いくつかの原因が考えられます。
・気温差による体温調節の乱れ
秋は日中暖かく、朝晩は冷え込むため、体温調節が未熟な子どもは寒暖差に対応できず、風邪をひきやすくなります。寒さで体が冷えると免疫力が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。
・乾燥した空気による喉の刺激
秋が深まると、空気が乾燥してきます。乾燥した空気は喉や気道を刺激し、咳が出やすくなる原因の一つです。特に暖房を使い始めると、室内の湿度が低くなり、喉が乾燥しやすくなります。
・ウイルス感染(風邪)
一般的な風邪ウイルス(ライノウイルスやコロナウイルスなど)は、秋に感染しやすく、咳を伴うことが多いです。鼻水や喉の痛みから始まり、その後咳が続くケースがよく見られます。
・アレルギー
秋はブタクサやヨモギなどの花粉が飛び交う季節でもあり、花粉症によるアレルギー性咳嗽が見られることもあります。また、ダニやほこりなどのアレルゲンが増えることで、アレルギー症状が悪化し、咳が出ることがあります。
咳風邪の症状
秋の咳風邪は、典型的な風邪の症状に加え、次のような特徴があります。
・乾いた咳
咳風邪の初期段階では、乾いた咳(乾性咳嗽)が見られます。喉の奥がイガイガし、咳き込むことが多いです。
・湿った咳
時間が経つと、咳が湿った咳(湿性咳嗽)に変わり、痰が絡むことがあります。痰を出そうとする反射で、さらに咳が続くことがあります。
・鼻水や喉の痛み
咳だけでなく、鼻水や喉の痛み、くしゃみなどの風邪の症状が伴うことが多いです。特に喉の痛みが強いと、咳をするたびに痛みが増すこともあります。
・夜間の咳の悪化
夜間や寝る前に咳が悪化することがあります。これは、気道が乾燥しやすく、横になることで喉に分泌物が溜まりやすいためです。
咳風邪への対処法
咳風邪の症状が出たときには、家庭でできる対処法を試しつつ、必要に応じて医師の診察を受けましょう。以下は、咳風邪への基本的な対処法です。
・室内の湿度を保つ
乾燥は咳を悪化させる原因となりますので、室内の湿度を50-60%程度に保つことが大切です。加湿器を使ったり、濡れタオルを部屋にかけたりすることで、空気の乾燥を防ぎましょう。
・こまめに水分補給を行う
喉を潤すために、温かい飲み物をこまめに飲ませると良いでしょう。白湯や温かいお茶など、カフェインの入っていない飲み物が最適です。水分をしっかり摂ることで、痰を柔らかくし、咳が和らぎます。
・鼻水や痰をしっかり出す
咳風邪では、鼻水や痰が絡むことが多いため、鼻をかむ習慣をつけさせることや、必要に応じて鼻吸い器を使用して、鼻水をきちんと出すことが大切です。これにより、喉に溜まる分泌物が減り、咳が軽減されます
・寝るときは頭を少し高くする
夜間の咳がひどい場合は、枕を少し高めにすることで、気道に分泌物が溜まりにくくなります。これにより、呼吸が楽になり、咳も和らぎます。
・温かい蒸気を吸入する
喉や気道の乾燥を防ぐために、温かい蒸気を吸い込むと良いでしょう。お風呂場で蒸気を吸わせる、あるいは温かいタオルで蒸気を吸うのも効果的です。
・医師の診察を受ける
咳が長引く場合、熱が出たり、息苦しさが見られる場合は、小児科を受診しましょう。特に、喘息の兆候や肺炎が疑われる場合は早めの診断と治療が必要です。
咳風邪の予防策
風邪の予防は、特に秋の季節に大切です。以下の予防策を参考にして、子どもの体調管理を行いましょう。
・手洗い・うがいの徹底
秋はウイルスが飛び交う季節ですので、外出後は必ず手洗い・うがいを徹底しましょう。手についたウイルスを洗い流すことで、感染リスクが減ります。
・十分な睡眠と栄養を取る
体の免疫力を高めるためには、十分な睡眠とバランスの取れた食事が重要です。特にビタミンCを多く含む野菜や果物(みかん、ほうれん草など)を積極的に摂ると、免疫力を強化する効果があります。
・適度な運動と外気浴
適度な運動は体力を向上させ、免疫力を高めます。秋の気持ち良い気候を活かして、散歩や軽い運動を取り入れると良いでしょう。また、外で遊ぶことで、体温調節能力も鍛えられます。
・服装で体温調節をサポート
朝晩の冷え込みには、重ね着で対応するのがポイントです。気温に応じて脱ぎ着しやすい服を選び、子どもが自分で調整できるようにしましょう。
は気温の変化が激しく、子どもたちが咳風邪をひきやすい季節です。咳風邪はほとんどの場合、適切なケアをすれば軽快しますが、長引いたり重症化する場合は早めに医師に相談しましょう。また、予防策をしっかりと行い、子どもたちが元気に秋を過ごせるようにサポートしてくださいね。
次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!