こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。

今日は「読書の秋」にちなんで、子どもたちのスマホやタブレットの使用と読書について考えてみたいと思います。秋は読書にぴったりの季節ですが、最近はスマホやタブレットに触れる時間が増えているお子さんも多いのではないでしょうか?今回は、電子機器の使い方と読書のバランスについて、小児科専門医の視点からお話しします。

電子機器(パソコン・タブレット・スマートフォン)使用のメリット

スマホやタブレットは、便利なツールとして私たちの生活に欠かせない存在になっています。お子さんたちも、学習やエンターテインメントのために電子機器を使うことが増えてきました。ここでは、電子機器使用の利点問題点を整理してみましょう。

学習ツールとしての活用
教育アプリやオンライン学習ツールを活用することで、子どもたちは楽しみながら学習することができます。特に苦手科目の補強や英語の学習など、インタラクティブな方法で学ぶことで理解が深まることがあります。

デジタルリテラシーの向上
現代のデジタル社会では、デジタル機器の使い方を学ぶことも重要です。早い段階でデジタルリテラシーを身につけることで、将来の学習や仕事に役立つスキルを習得することができます。

情報収集のスピード
電子機器を使えば、インターネットを通じてさまざまな情報を瞬時に検索し、収集することができます。子どもたちが興味を持ったテーマについて調べる際には、非常に便利です。

視力の低下や目の疲れ
長時間電子機器を使用すると、画面の光(ブルーライト)によって目が疲れやすくなります。特に成長期の子どもたちにとって、長時間の画面使用は視力の低下を引き起こすリスクがあります。

集中力の低下
電子機器は気軽に使える一方で、通知や広告、ゲームなどの誘惑が多く、集中力をそがれることがあります。学習の途中で気が散ってしまい、深い理解に至らないことが多いです。

睡眠への影響
寝る前にスマホやタブレットを使用すると、ブルーライトの影響でメラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌が抑制され、睡眠の質が低下することが知られています。これは子どもたちの成長にとって大きな影響を及ぼします。

読書の利点:心と体に与える影響

一方で、読書は古くから子どもの成長において非常に重要な役割を果たしてきました。読書には以下のような利点があります。

想像力と創造力の向上
本を読むことで、物語の中で登場する人物や場面を自分の頭の中で想像する力が養われます。これは創造力の基盤を作り、豊かな感性を育てる大切な活動です。

語彙力と文章理解力の向上
読書を通じてさまざまな語彙や表現方法を学ぶことができます。語彙力が豊かになることで、コミュニケーション能力も高まり、文章を理解する力も向上します

集中力と持続力の育成
読書は、集中力を高める効果があります。一冊の本を読み切ることで、持続力も養われます。

心の安定とリラックス効果
静かな環境での読書は、心を落ち着かせ、リラックスさせる効果があります。特に寝る前の読書は、電子機器の使用とは逆に、心地よい眠りを誘う助けとなります。

子どもの健康のために:電子機器の使用と読書のバランスを考える

子どもたちの成長には、電子機器の良い面も読書の良い面も取り入れたバランスの取れた生活が大切です。以下のポイントを参考に、家庭でのルールを考えてみましょう。

電子機器の使用時間を制限する
小児科専門医として、私は子どもの電子機器使用時間を1日1〜2時間程度に制限することをおすすめします。特に小学校低学年の子どもには、1時間以内が望ましいです。また、使用する時間帯にも注意し、寝る前の1時間は使用を避けるようにしましょう

読書の時間を日常に取り入れる
家庭での「読書タイム」を設けて、子どもたちが毎日少しずつでも本を読む時間を作ることを習慣化しましょう。親も一緒に本を読む時間を楽しむことで、子どもたちも自然と読書に親しむようになります

インターネットと読書を組み合わせた学習方法
インターネットを使った調べ学習と、読書を組み合わせることで、より深い学びが可能です。例えば、タブレットやパソコンで調べた内容を本でさらに詳しく学ぶ、あるいは読んだ本についてネットで調べて理解を深めるといった方法が有効です。

適切な電子機器の使い方を教える
スマホやタブレットの使用自体を否定するのではなく、適切な使い方を教えることが大切です。子どもにとって有益なアプリや学習ツールを選び、使用時間と目的を明確にすることで、健康的な使い方をサポートしましょう。

電子機器の使用が増える中、読書の大切さを忘れずに、子どもたちの心と体の健康を守っていきましょう。秋は涼しく過ごしやすい季節なので、外での活動や読書など、バランスの取れた生活を心がけることが大切です。

次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!

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