【有明みんなクリニック 有明ガーデン院】 小暮院⻑退職のご挨拶

突然の発表になり驚かれたかたもいらっしゃるかもしれませんが、私⼩暮裕之はこの度、有明みんなクリニック 有明ガーデン院 院⻑を退職させていただくことになりました。この場をお借りして、その経緯と今後の⽅針についてお伝えさせていただきたいと思います。

2010年に開院した「有明こどもクリニック」からスタートした11年間での湾岸地域の小児医療の変化

前職の勤務医時代、当時「⽇本の乳幼児死亡率が先進国でワースト2位」ということを知り、この現状を改善することをミッションに掲げ、2010年9⽉に有明院を開院しました。有明地域で不⾜していた⼩児科を開院することで、通常の診療はもちろん、健診時に家庭での不慮の事故を予防するためのアドバイスや、当時はまだ⽇本に⼊っていなかった不活化ポリオワクチン・6種混合ワクチンを輸⼊するなど、予防接種を先進国レベルまで引き上げる活動も⾏ってきました。

その後、⽇本の予防接種体制の進歩に加えて、事故防⽌は全国の保健⼠さんへも広がり、乳幼児の死亡率も解決ししていきました。

そんな中、診療に来られる湾岸地域のパパママたちが、働きながら⼤変そうに⼦育てをしている現状を⽬の当たりにし、「共働き世帯の多い湾岸地域で、安⼼して出産や⼦育てできる社会を創る」へと⽅針をシフトしたのが2015年です。

豊洲院、勝どき院、⽥町芝浦院と湾岸地域へクリニックを広げることで、お昼休みも⼟⽇も、仕事後も通院できる体制を確⽴し、2019年には「病児保育室フローレンス豊洲」を、2020年には「有明ひふかクリニック」をオープンしました。

院⻑という経営者とクリニック責任者、2つの⽴場から⾒えてきたこと

経営者として「これからの⼦どもたちや⽇本の未来を⾒据えた医療⽀援へ」

先述した通り、⾏政やさまざまな地域のご尽⼒もあり、この11年で湾岸地域の医療過疎は脱しつつあります。その結果、経営者として今後の展開を考えたときに、「働くパパママ世代」から「⽇本や⼦どもたちの未来」へとフォーカスするようになってきました。現在私が考えている取り組みとしては主に2つあります。

  • その1 豊洲地域での新しい産婦⼈科の開業

今の⼦どもたちが、将来安⼼して⽇本で暮らせるためには、⼈⼝減少を⽌めなければいけません。中でも東京23区は少⼦化の影響から産院が減少傾向にあり、⼤病院も予約が取りにくい状況です。特に湾岸地域では産院数は病床数が追いついていない状況です。

私⾃⾝4⼈の⼦どもがおりますが、既存の産院では、上の⼦がいながらのお産は難しいと実感しました。旦那さんやおじいちゃんおばあちゃんの休みに合わせて⽇程を調整できる計画出産や無痛分娩は便利ですが、⾦額も⾼額でできる場所も限られています。そこで、2⼈⽬、3⼈⽬が産みやすく、さらに退院後も⼿厚いサポートができるような新しい形の産婦⼈科施設を2023年豊洲に作る計画を進めています。湾岸地域に多く作られたホテルと提携しながら、お⺟さんが希望に応じて退院後に休める産後院や、産後うつや虐待問題を解消できたりするような受け⽫を作っていくことを考えています。

  • その2 途上国への医療⽀援

コロナ前は、海外出⾝の親御さんたちから、お正⽉などの⻑期休みの帰省の際、「現地では医療内容では不安だから、多めに薬を処⽅してもらえないか」という相談を多く受けました。コロナ禍でのワクチン接種の状況を⾒ても、途上国と先進国の差は⼤きいのが現状です。途上国での医療格差を解消することは、SDGsの観点からも、そして⼈⼝減少を迎える未来の⽇本を助けていただくためにもなると考えていました。そこで、途上国で⼩児医療が⾏き届いていない地域にクリニックを作り、現地のスタッフを育てながら、共働きしながらでも⼦育てしやすい街づくりの⼀環として、医療⽀援をしていきたいと思っています。現在、2022年にベトナムでの⼩児科クリニックの開院を計画しています。

院⻑として「クリニックの安⼼安全の追求」

クリニックの責任者としては、安⼼安全はこれまでも当然のこととして取り組んできました。ですが、最近は経営業務の⽐重が⾼くなり、現在クリニックでの診療は週1程度になっており、細やかな現場の報告・連絡・相談が私のところまで届きにくい状況になってしまっています。

先⽇、当院の予防接種の際に、患者さんへ空気を接種しかけるという医療事故につながりそうな事案が発⽣しました。現場のナースの判断により幸い未然に空気の接種を防げたことで⼤事には⾄りませんでしたが、専⾨医が現場に2名いたにもかかわらずそのようなことが起きてしまったこと、さらに私のところに報告がすぐになかったことを⾮常に重く受け⽌めました。私は⽇頃からスタッフたちに、「悪い情報こそ改善の余地」と考え、感謝して前向きに改善していこうという意味で“バッドニュースファースト”をスタッフに指導していたにもかかわらずです。

そして、現場に私がいないことで報告しにくい状況を⽣んでしまっていたのではないかと深く反省し、クリニックの運営や細やかで迅速な対応、安⼼安全を追及するためには、⽇々常駐する専任の院⻑を置いてお任せした⽅が良いのではないかと考えました。

以上2つの側⾯から院⻑の職を退職し、今後は経営者として尽⼒していきたいと考えております。

2010年に有明こどもクリニックを開業した当初は、⼩児医療以外の世の中のことは何も知りませんでしたし「有明の⼩児科医として⼀⽣を終えるであろう」と思っていたので、まさか⾃分が10年後にこのような⽴場になっているとは想像もしていませんでした。湾岸地域の皆様のおかげで今の私があると思っております。これからは、地域の皆様はもちろん、社会のため、未来の⽇本の⼦どもたちのために⾃分にしかできないことを精進して参りたいと考えております。

院⻑の職は退職いたしますが、引き続き医療法⼈社団モルゲンロートとしてグループ全体のことは把握していきますので、今後とも当院を宜しくお願い致します。

つきましては、現有明こどもクリニック豊洲院副院⻑である中村先⽣を新院⻑として、2022年から新体制で安⼼安全な医療をお届けしていく所存です。

医療法⼈社団モルゲンロート
理事⻑ ⼩暮裕之


湾岸地域の皆様に寄り添ったさらなる安⼼安全な⼩児医療を⽬指して

「有明みんなクリニック 有明ガーデン院 中村新院⻑よりご挨拶」

2022年1⽉より、有明みんなクリニック・有明ガーデン院・院⻑に着任しました、中村多⼀郎と申します。

近年の私のプロフィールとして、2016年4⽉から2017年6⽉にかけて有明こどもクリニック豊洲院 副院⻑として勤務させていただき、2017年7⽉より⻘森県内市中核病院で⼩児科常勤医師として勤務させていただき、2020年4⽉より⻘森県内市中核病院で⼩児科部⻑として勤務させていただきました。

特に、2020年4⽉より⻘森県内市中核病院で⼩児科部⻑へ着任したと同時に、新型コロナウイルス情勢が本格化し、⼀⼈常勤体制につき実働待機⽇数が年間300⽇以上に達し、安全な⼩児医療体制の確保に奔⾛しました。

敗⾎症、腸重積、急性⾍垂炎穿孔、⾎⼩板減少症、脳腫瘍、頭蓋⾻⾻折、急性脳症、痙攣重積、WEST 症候群、感染性⼼内膜炎等々、重症度の⾼い⼩児患者様における迅速な初期対応や⾼次医療機関との綿密な連携に努めました。結果として、私の部⻑在任期間中は、⼩児科では⼀⼈も死亡者を出さなかったことは幸いでした。

また、⼩児科通常診療に加え、新型コロナウイルス⼩児患者様の経過観察⼊院や⾃宅療養措置に可能な範囲で対応し、新型コロナウイルス情勢において増加した⼩児の頭痛、倦怠感、起⽴性調節障害、不登校にも可能な範囲で対応しました。

有明みんなクリニック・有明ガーデン院で安⼼・安全な医療を提供し、地域の皆様の⼀助となれるよう、⽇々努めてまいります。何卒宜しくお願い申し上げます。

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