医療コラム(こどもの中耳炎)
有明みんなクリニック有明ガーデン院、耳鼻咽喉科担当医の日尾です。
今回はこどもの中耳炎について投稿させていただきます。
保育園に通い始めてからずっと鼻水が続いているというお子さんはたくさんおられるのではないでしょうか。
入園前は、周囲から病原体をもらう頻度が少ないため、結果として免疫を持っていない状態で入園を迎えます。そのようなお子さんたちの中に何種類もの病原体が次から次へと感染するため、すぐに鼻風邪にかかってしまいます。
お子さんは比較的元気で風邪という診断に落ち着くのですが、時に中耳炎が見つかることもあります。
中耳は鼻とつながっていて、鼻や咽喉にいた菌やウイルスが耳管と呼ばれる中耳と鼻をつなぐ管を介して中耳に達することで中耳炎を起こすのです。
小さなお子さんは耳管の傾きが大人に比べて水平に近く、管自体も短いので、菌やウイルスが中耳に到達しやすいため中耳炎に罹りやすくなっています。
中耳に膿がたまって痛みや熱が出ている状況では、抗菌薬を使用します。中途半端な使用は耐性菌を作ってしまうので、抗菌薬の効果を確認しながら、ある程度の日数(5~10日)しっかりと使う必要があります。鼓膜を切開し膿を出すことも必要に応じて行います。耳だれや鼻から感染の原因となっている細菌を調べ、抗菌薬が効くかどうかを確認しておくことも重要です。
ご家庭では鼻水が出ている時には定期的に鼻水を吸ってあげてください。ご家庭で難しいようであれば鼻吸いだけの受診でも結構ですので受診して鼻吸いを受けてください。
保育園に通い始めたお子さんは中耳炎を繰り返したり、中耳炎が長引くことが多い傾向にあります。しかし、中耳炎を繰り返すからといって心配することはありません。保育園や幼稚園に通っているお子様は成長していくにつれて、免疫力も体にできてくることと成長に伴い耳の構造の変化も起きるので、中耳炎にかかる頻度は落ち着いてきます。